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2024/10/06(Sun) 17:19:59
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主小田主祭一人で開催中!!「お祭・企画」カテゴリーでみれるよ!応援よろしく


 10時、11時、12時と連続で主小田主長編「風に立つ」の冒頭2話を公開していました。13時更新ぶんからはそのあとの話の断片をネタ帳から引っ張り出してのっけていきます!ちゃんと小田桐出ます!冒頭をごらんになってない方は読んでいただけると幸いです。
 今回のラインナップは『恋愛』『隠者』『剛毅』の一部つってもあまりにも断片ですが。しかも剛毅とか小田桐出てませんが。もっとひどい断片もあってそれは切り捨てたので安心してください。(不安だ!)
 シーン的に言うと小田桐がはじめて主人公の部屋に来たときの小会話と、勉強会中のちょっとした会話と、順平との恋バナ、の三本でーす。次の更新もまたみてくださいね!ウフフフフフ(サザエ)

・『恋愛』中盤(地の文なし)
「……静かだな」
「そういうふうな希望したから。いいところだろう」「静かすぎて怖い?」

「一応管理人さんはいるんだけど週に2回しか来ないんだ。ご近所は、2階が2人に、3階も2人だったかな。あんまり見かけないけど」
「君はなぜ1階に?」
「いちばん音が響かない部屋にって。ていうかここは集会室ってか、まあちっさい会議室だったのを改造したらしいよ。だから防音壁で」

「ここで」

「ここで助けを求めて絶叫しても、誰も来ないかもね」



「携帯電話は手放さないようにな」

「そうだね」

**********
 凄んでみせたいおとしごろの主人公
 ナチュラルに受け流して心配までしてみせる小田桐


・『隠者』
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 なんだか不安だ、これって。ハルは小田桐の手元を微笑んで眺めながらぼんやりと手足の感覚が冷たくなっていくのを感じた。改造車の音が通り過ぎた。壁時計と目覚まし時計の微妙にずれた秒針の音がぱらぱらと響いていた。ひそかに肌にふれた蝶の懐中時計もそういう音を不気味に立てだすのではないかと、おかしな空想にとらわれた。
「―――佐伯くん」
「ん?」
「君のさ」
 小田桐はペンをすいと倒した。もどかしい感じだった。あの手はちゃんと骨もあるのに、触っても触れないのじゃないだろうかと、しかしその骨がむやみに恋しいような。
「君の下の名前の字ってどう書くのだったか。」
 ハルの口元からふっと微笑が消えた。
「すまない、意外と書く機会がなかったんだな。前にも聞いただろうか?」
「……わかんない。かたかな、だよ。たいした字じゃなくてごめんね。」
「そうか、カタカナか、ハル。」
 そのままに受けて呼んだカタカナの名前は自分で示した情報のままだとわかったが、ハルは少し驚いてその声を反芻した。なんで、と聞こうとしたが不自然そうなのでやめた。彼が自分の名前に光を当ててくるとは思ってもみなかったので。
 漠然と、自分のことを聞かれてもたとえば秒針みたいな音しか出せないというような気がしていた。そのはずが、ちゃんと『かたかなだよ』と声が出たということが、できて当然なことなのに不審だった。
「何か、意味は?」
 また動き出した小田桐のペンが受け取ったままの文字列をノートの端に少し薄めに書き取った。手慰みでしかないのはわかっても気恥ずかしいような気がしたが、その筆跡が予想外に美しい記号のように見えて、口が滑った。
「季節の春と、あと……『2001年宇宙の旅』とかの、宇宙船の人工知能の名前なんだって。」
「うん」
「『ムジュンして人間に逆らったコンピューターの名前』だって、母さんが言ってた。」
 そんなことを他人に言うのは初めてだった。母の言葉として、いつも自分の中で大事にしてきたことではあったけれども。それが自分の情報として誰かに送られているということにおどおどして唇をひき結ぶと、またペンを倒して、小田桐が言った。
「いい名前だ。」
 反射的に盗み見ると小田桐はうすく笑んでいた。小田桐が書きとめた佐伯ハルという文字を眺めてやさしく笑んでいるのをハルは見た。それはいつもふっと向けてくれるぎこちない笑みと同じ顔でも、意味が違うような、今までとんでもなく大事なことを見落としていたような気がして、恥じ入って縮こまった。
 うつむいたハルをどう思ったのか、小田桐は意識もしていないようなうす笑みのまま、ペンを床において肩を伸ばした。
「どんな話だったっけな。」
「見たことあるの?」
「いや、ない。君は?」
「小さいころに見たけど、覚えてない。」
「見てみたいな。そういう、原記憶というのか。そういうものが、意外と奥深かったりするものだ。」
 伸びやかに投げ出された腕に、抱きしめられたような空想が駆けた。小田桐が楽しげにしているのを、ハルは素直に嬉しいような、不可解なような気持ちではらはらと見ていた。そして自分のとるに足らない来し方の断片の、いくらかをそこに吸わせた。

**********
 主人公軽度の鬱雰囲気編。「蝶の懐中時計」ってのはちょいとしたキーアイテムで、小田桐が平賀の持ってたものを主人公にと譲り受けて贈った品なんですがそこんとこはまだ書いてないんだよな!!「蝶」の「懐中」ってことからわかるとおりこの時計は主人公のパピヨンハート、心をあらわす物品なのですが、その「時計」は壊れて止まってます。壊れてるから平賀さんから小田桐は装飾品扱いでもらってきたわけですね。
 運命の国からきた心の時計の針が止まっているのです。


・『剛毅』
「オレもいまいち、よくわかんねぇんだけど」
 順平はもごもごと言う。
「ダチと恋人って何が違うんだろうな。」
 オレは運がよかったってだけなんかも、とつぶやいて順平は肘を膝についた。ハルはそれをぼんやりと見やって、少しの沈黙のあと、半開きだった口を動かした。
「それはヤりたいかそうでもないかじゃねえの?」
「おま……、そりゃそうだけど。さすが容赦ねえよなー……。」
「容赦つうか。おれのことを言ってるだけだけど。誰だって状況は違うだろ。」
 言うことの内容に反して、ハルはつまらなさそうな顔で風の流れに沿って目を伏せた。長いまつげが印象的な目をひさしのように隠している。
 俗世に興味のない神の化身だとでもいうようなそのすかした風情に、最初のころ順平はしばしば苛立ちを覚えたものだった。今ではその中に彼の受容性とままならなさを見る。情欲を一言で片付けて目を伏せるのは素直にそのままならなさを認めているからと。
「おれはね、自分がいっつも怖い。なんで自分の考えてることが食い違ってわけわかんなくなるんだろうな。大事にしたいとか思うのは順平にだって同じなんだぜ。でも……。
 こういうのが恋ってことなんじゃねえの。認めるかどうかはまた別の話だけど。」
「おーい、おまえはまぁだそんなこと言ってんの。」
 真剣に心配して呆れたような言葉をかけると、ハルは少し赤い顔で順平を睨みつけた。急に人間らしい顔に順平は楽しくなる。
「まだも何もねぇの。だってほんとおれ、ひどいんだぜ。マジで忘れたほうがいいんじゃないかって時々思う。」
「へっ、このムッツリ。おまえのヤワな外面に釣られる女の子らにその変態を教えてやりたいんですけど。
 ……でも、忘れるかどうかなんて意味ねぇ考えだろ。んなこたぁ、できねんだ。」
「そうとも限らない。たとえば、つまり……、」
 二人とも目に同じ色を映して空を見上げた。こういう色の瞳をした人のことを覚えていた。
 かつて自分たちに、苦しむか何もかも忘れてしまうかと質問を課した懐かしい友達は今はここにはいない。しかしあの瞳の色はほんとうにどこにでもあるものだとハルは思った。
「あの選択はさ、ほんとはいつだって、おれたちが選べることなんだ。あいつがわざわざ言わなくたって。それで世界がどうにかならなくたって。いつだってきっと捨てようと思えば捨ててしまえるんだ。ただ、たぶんおれたちはそれを選ばないってだけ。」
「……そうだな。」
 順平は突然丸まっていた背筋を立てて伸びをした。大きなあくびをしてニッと振り向く。
「オレらは悩んでへばって、逃げられっけど、逃げねぇバカだったもんな。」
「……ふふ」
 対照的に力なく眉を下げて笑いながら、ほんといい男になったな、とハルは順平を見上げた。最初から自分より格段にいい男だったけれども、とも、自分はいい男になれているのだろうかとも考えた。
 そんなことを考えるのは初めてのような気がした。いい男になりたいのかどうかもよくわからないが、それはとんでもなく難しそうなことだなと思った。そして小田桐はめちゃくちゃいい男なのだと、ハルは遠い目をした。

**********
 順平さんマジカッコイイ編。ちょっぴり綾時の話です。
 主人公の「死」がわたしたちプレイヤー皆自身にとって象徴的なものであるように、綾時が課してきた選択もわたしたち皆に、死と同じようにいつでも、どんな小さなかたちをとっていても突き付けられているものなのだと思っています。
 いまの世界を壊す恐ろしい死神を殺してすべてを忘れますか? >はい >いいえ
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2010/12/25(Sat) 13:41:30
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