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2024/10/06(Sun) 15:23:20
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主小田主祭一人で開催中!!「お祭・企画」カテゴリーでみれるよ!応援よろしく

 今更ですがいつもどおりチマチマしたことはついったーでしゃべくっています。23時ぶんの更新だよ!
 いいかげん文章だけとか飽きてきたころですが他に何も用意できないので(つまり祭の間に新作は何一つできていないので)仕方なく文章をうpするよ!ところでエロネタのうp是非についてどう思いますかね(自分がエロガッパだからといって人を引きずり込もうとしている)

 長編「風に立つ」ネタメモ断片のアップを続けます。なおも言いますが10時~12時ぶん更新ぶんに長編の冒頭があるのでまだのかたは読んでくださると幸せです。
 『節制』の次の『悪魔』です。たなか社長のアルカナですが書いたものは自分ではお気に入りの趣きです。

・『悪魔』A 小田桐視点
 行くな、と言おうとした。袖口を掴み、その下の腕をしかと感じながら、しかし僕は何も言うことができなかった。その言葉が場違いだったからでもある。
 彼の目があまりにも悲痛だったのだ。
 ありありと、その目は僕を映していた。まっすぐ、僕にすべてを投げ出してよいと、強く強く語っていた。それに比べて僕はどうだろう? 何か彼に捧げることができただろうか? 行くななどと言って権利を主張する覚悟が、僕のいったいどこにあるというのだろう? たとえその言葉を彼が望んだとしても、僕には彼の望みを叶える資格はないのだ。
 彼が微動だにせぬまま顔を歪めた。それは悲しげで、悔しげで、痛切で、少しだけ幸せそうにも見えた。
「……なに?」
 泣いているように掠れた声だった。何の根拠もなく彼は今幸せなのだと思い知った。なんと、痛々しい。なんとささやかで頼りない幸せのかたちだろうか。それは聖母の笑みのように侵し難い場所で、きっと自分の踏み入る余地などありはしないのだ。
「まだ、ここに」
 彼は目を見開いた。踏み入れなくともかまわなかった。ただここにいてほしいと思った。僕に黙ってどこにも消えずに、できる限り長く時間や行為を共有したいと思った。それをわがままや、おかしなことだろうと僕は考えて、考えながら依然強く思っていた。僕と彼は交わらないのかもしれない。そうしているのは僕自身だ。それでも、僕は、彼の隣にいたいと思ってしまっていた。
 彼は何も答えずにゆっくりと座りなおした。何を言うでもない僕を不審がることなく、わずかな手の重なり以外を求めることもなく、ただ隣で、静かに息をしていた。そして数学の問題をつくって見せた。無言で差し出されたやわらかな笑顔を抱きしめたくなって、僕は深い罪悪感に目を伏せた。

**********
 わりと最近(と言っても1年は昔)書きました。そのせいでちょっと小田ハムのシリアスの文体が映り込んでしまってます。
 何もいらない幸せなんて多くはにせものの神様ですよ。


・『悪魔』B 小田桐サイド
「おいおい、それで腰痛? そんなに硬いのかおまえ」
「いやもう、相当だよ僕は……。君とは体育一緒になったことがなかったっけな」
「ないけど……、それはひどいだろ。ちょっとおれの背中、押してみろよ」
 まっすぐ伸ばしたかと思えばそのままいとも滑らかに角度を開いた脚に、その時点で既に驚いてしまった。言葉のままに背中を押すと、なんの抵抗もないかのように、想像もしたことのない深さまで彼の上体は沈んだ。何か健康上まずいことに手を貸してしまったような気がしておののいていると、彼はそのままの態勢でちらりと振り向いた。
「あのな、別に関節とか外れてないから」
「ま、あ……、そうだろうな。よかった……」
「目ぇそらすな。筋肉硬いと、肩凝るだろ? どんだけ硬いのか知らんが」
「押してみるかい?」
 半笑いで背を向けて脚を投げ出すと、佐伯くんは背を押すよりも肩を揉み始めた。息を詰める痛みと心地良さに長い息を吐くのを、背後でくつくつと彼は笑った。
「今の力の抜けようなら新記録が出るぞ」
「だといいな」
 苦笑して、新記録をもたらす掌が来るのを待った。待ったが、しばらく何もなかった。何もなかったが心地良さに目を閉じていた。たぶん、陽の暖かさと緊張の解放で眠かったのだろう。確かに今なら新記録が出るにちがいないと思った。幸せな眠気だった。
 背中に掌ではない何かが触れてきたときも、何が起こったのかすぐにわからなかった。触れたときに来たなと思い、いくらか遅れて彼の頭なのだと理解した。やはり硬い背は軽い重みでは倒れず、背骨の浮いた背筋がゆるやかに頭と圧し合った。
 彼が自分の背後でどんな顔をしているのか考えた。たぶん悲しそうにしているのだろう。彼の深い愛に応じない硬い僕の背中を悲しんでいるのだろう。あるいは、こんな男に恋してしまったことを呪うだろうか。苦しみながら、もう諦めようとしているのだろうか。
 彼の望みが叶うように、僕は祈った。僕が身を投げ出せばいくらか叶う望みなのだとしても、それでも目を閉じて僕は祈った。彼が心を殺して諦めたりしないように。どうか苦しみや幸せを忘れたりしないように。勝手なことを、僕は背後で苦しむ少年に祈った。その指に触れて力づける気持ちをこめてリズムを刻んだ。背にかかる圧力が少し増したのがわかった。まだ、苦しんでいる。なんと残酷なことだろうと思いながら、僕はそれにひどく安堵していた。

**********
 小田桐さんドSに目覚めるの巻(ちがう)
 あきらめたほうがいいなんて想う側は思ってしまいますけど想われる側としてはあきらめてほしくなかったりするんですよね、それはキープって意味以外でも。だって、がんばれって思う。自分が応えられるかわからないし今は応えられない、でも先のことはわからないし、なにより、なにひとつもあきらめる悲しい思いをしてほしくない。まるで自分の挑めない夢に挑んでいる人を応援するように、負けるな、と思うのです。それは苦しいほどに。


・『悪魔』B 主人公サイド
 背中を押そうとして目を奪われた。見覚えのありすぎる情景がそこには広がっていた。
 窓からさしている西日が小田桐の体に遮られて、おれの体にかかる影を作っていた。家主のおれの知らぬ間に、まるで小田桐のために窓と陽がしつらえられていたみたいだ。生徒会室の窓がそうだったように。長く、濃く、せつない影に、おれは半分以上守られた。もうちょっとだ。もう少しおれが、小さく縮こまりさえしたならば。
 思い切って、倒れるように背中に額を寄せた。小田桐はほんの少しぴんと肩を跳ねて、しばらくすると規則正しい呼吸だけを繰り返す状態に戻った。
 好きだ、小田桐。
 好きだ。
 ぼんやりとした表情のまま頭の中だけで何度も繰り返した。押し付けた額から鼓動と、気持ちのいい呼吸の動きと、体温が伝わっていた。おれの頭の中が伝わって欲しくはない。誰に伝えるでもなく、ただ読経のように、それを繰り返し続けた。
 このままこのお経だけを残して、おまえを絞め殺そうとする腕も、おまえに喰いかかろうとする口も、おまえに駆け寄ってしまう脚も、すべて動かなくなってしまえばいいのに。そしておれはこのリズムと温度を憶え、おまえは歩き出したどこかで、誰かと、幸せになってくれたらいい。おれの目の届かないどこかでおれを忘れ、おれのことなど、全部忘れて……。
 おれがいなくてもおまえは幸せになれる。
 おれがいなくてもだ。
 小田桐の手がおれの指をとらえ、父親が子をあやすようにぽんぽんと軽く叩いた。ゆっくりとしたそのリズムの意味がわからず、胸に穴が開いたような心地がした。

**********
 上でも書きましたけど、『悪魔』はにせものの神様をあらわします。にせものとはいってもそれって見た目はすごくきよらかなの。それを信じて読経してたいよね。でもその実態は自分自身の信仰を貫くことに対する怠惰なの。

 次回更新は『悪魔』の最後~『塔』の「2度目の死」まで。今度はいったい何が「死」んで何が生まれるでしょうね?
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2010/12/25(Sat) 23:58:00
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